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【購入前にチェック】1階がピロティ形式のマンションは地震に弱い?

   

「ピロティ形式」という言葉をご存じですか? 1階部分が柱のみで、壁がない建物の構造です。

マンションにおける部屋などの居住部分は、2階以上のフロアに位置しています。

実はこの形式に対し、耐震性の面で不安が指摘されています。しかしその一方で、津波に対しては強いという調査結果も知られるようになりました。

これから中古マンションを購入する場合、ピロティ形式は避けるべきなのでしょうか。それとも、こだわる必要はないのでしょうか。

また、もしもピロティ形式のマンションを購入するのなら、どのような点をチェックすればよいのでしょう? ご紹介していきます。


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美しさと実用性をもたらす「ピロティ形式」とは

「近代建築の三大巨匠」の一人として知られる建築家「ル・コルビュジエ(1887~1965年)」は、「新しい建築の5つの要点」をあげています。

屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面、そして「ピロティ」です。

彼が基本設計を行った国立西洋美術館は、その5つの要素をすべて備えています。2016年7月には、厳正な審議を経て世界遺産に登録されることが決定しました。

このようなピロティには芸術的な価値があり、外部と内部の空間をゆるやかにつなげるという役割を担っています。

ル・コルビュジエの影響を受けた世界中の建築家は、さまざまな建築物にピロティを採用してきました。

日本でも広島平和記念資料館や東京都江戸東京博物館など、沢山の建築物に採用されています。

その一方で、ピロティ形式によって確保できる空間の実用的価値にも、目が向けられるようになりました。限られた敷地を、有効に活用する方法として捉えられたのです。

やがて一般的なマンションや店舗の設計でも、ピロティが採用されることが増えました。そういう建物ではピロティが、駐車場や通路、広場などの実用的役割を担っています。

ピロティなら内部を自由に通り抜け可能なので、敷地内を最短距離で移動できます。ピロティの駐車場を使えば、マンションの住人が雨の日に車を降りて濡れる心配もありません。

ピロティ形式とはこのように、芸術品としての側面と実用品としての側面を併せ持った建物といえます。


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地震に弱い?ピロティ形式の弱点

空間を有効活用する方法として普及したピロティ形式の建物。その強度が問題となったきっかけは、1995年の阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)です。

この地震では、ピロティに特徴的被害がみられました。

ピロティの真上に位置する耐力壁を支える柱に、非常に大きな力がかかったのです。

それによって柱が曲がったり、「せん断破壊」と呼ばれる柱が一気に大きくひび割れた状態になったりという被害が起こりました。

しかも、1981年に施行された「新耐震基準」にのっとって建てられたマンションにも、同じような被害がみられたのです。

「新耐震基準」は地震によって建物が倒れないこと以上に、内部の人間の安全を確保することを主な目的にしています。

滅多に起こらない規模の大地震(震度6強以上)にあっても、倒れない住宅にするという規定です。

それなのにピロティ形式の建物には、なんと倒壊被害がみられたのです。

同じようなピロティの被害は、2016年4月の熊本地震でも報告されています。

新耐震基準にのっとった鉄筋コンクリート造のマンションで、ピロティ形式でない建物に倒壊被害はありませんでした。

このことから、ピロティ形式の建物は地震に弱いと指摘されるようになったのです。

規定の改正による強度アップ

ピロティ形式の中古マンションを購入する際はまず、建設時期を調べましょう。

耐震基準はさまざまなタイミングで改正されており、2016年時点では2006年に施行された改正が適用されています。

2006年の改正では建築確認・検査が厳格化され、中間検査も義務づけられました。

この2006年以降の耐震基準が適用されていれば、基本的に問題ないといえます。

それ以前に建てられたマンションの場合、耐震診断や耐震補強工事の実施状況を確かめることをおすすめします。

阪神淡路大震災の教訓から、ピロティ形式の建物に対する規定も見直されました。

詳細な設計の考え方が基準解説書に示され、規定が改正されたのです。

この改正後の規定に基づく建物は、東日本大震災も含めて倒壊被害の報告はありません。

つまり、ピロティ形式の建物がすべて地震に弱いわけではないのです。

大地震に対応可能な強度を確保できるよう、しっかりとした設計と施工がされていれば問題はありません。

旧耐震基準と新耐震基準における大きな違いは、柱のせん断破壊を防ぐ構造です。

せん断補強筋(柱を囲むように横方向に配される鉄筋)の量を増やすことで、せん断破壊の被害は減りました。

ここから考えれば既存のピロティ形式の建物でも、理論的に耐震補強は可能です。

柱の周りに補強材を巻いて変形に対する強度を持たせる方法や、耐力壁、鉄骨ブレースなどの補強材を柱と柱の間に追加するなどの方法が考えられます。

また、柱や梁で構成された「ラーメン構造」では、地震の力を受け流せるよう壁との間に「構造スリット」を設けます。

いずれにしても必要な強度が確保できているかは、プロの検査を受けなければわかりません。

だからこそ、購入の前にはしっかりとその記録を確かめることが必要です。


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津波に強い!ピロティ形式

東日本大震災では、沿岸部に甚大な津波被害が起こりました。

その被害状況を調査した結果、ピロティ形式の建物は津波に強いということがわかったのです。

宮城県の沿岸部で建物調査を行ったところ、ピロティ形式の建物は津波にあいながらも流出を免れたという報告がありました。

その理由は、1階部分の外壁がないことで、水圧を受ける部分が小さくなるためではないかと分析されています。

もちろん一般的な構造のマンションに比べ、強風時の風の通りもよくなるでしょう。

全国各地の沿岸地域では、津波発生時に住民が逃げ込める「津波避難ビル」の指定が急務となっています。

津波避難ビルは被害が想定される地域の建物なので、津波に対する強度が欠かせません。

今後新たに沿岸地域のマンションが建築される場合は、あえてピロティ形式を採用するケースも十分に考えられます。

まとめ

ピロティ形式の概要やメリット、デメリットをご紹介しました。

芸術的な現代建築の手法として、偉大な建築家が考え出した「ピロティ」。

しかし近年では、限られた敷地を有効活用する手段としてすっかり身近な存在となりました。

ただ、阪神淡路大震災以前に建てられたピロティ形式のマンションは、やはり耐震強度には不安が残ります。

ピロティ形式の中古マンションを購入する際は、近年になって建てられたものを選ぶか、耐震対策がしっかりととられたものを選びましょう。

耐震診断や耐震補強工事の記録を見て、納得できたものを選ぶことが大切です。

もうひとつ注意していただきたい点は、建物のメンテナンス状況です。

必要な大規模修繕工事などのメンテナンスを行っていないと、想定される強度が確保できない可能性も十分考えられます。

心配な方は「ホームインスペクション(住宅診断)」や「住宅性能表示制度」など、有料の検査サービスの利用を検討しましょう。

これらは住宅のプロである、第三者機関による検査です。

建物の傷み具合や残りの耐用年数なども知ることができ、今後のメンテナンス計画も立てやすくなります。

大地震は滅多に起こらないので、寿命が尽きるまで大地震を経験しない建物もたくさんあることでしょう。

安心して長く住める住宅を手に入れるために、地震への強度も確かめた上で購入に踏み切りましょう。

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